「―――、なの…か…?」
雨のように降って来る。
初めてその表現の意味するところを知った。
久々に感じる、だけど懐かしい体温。
ほんの少し離れていただけなのに、どうしてこうも満たされていく気がするんだろう?
だけど、それはきっと彼も同じなんだと思う。
聞こえてくる鼓動の音は、少しだけ早いわたしのものと、もうひとつ。
それは規則的なリズムでどこか緩やかに、それでいて確かな現実を、わたしの心へと刻み込んでくれる。
夢じゃない。
夢じゃない、よね?
それは彼も同じだったみたい。
骨ばった大きな手が、もどかしそうにわたしの頬を、鎖骨を、そして身体全体の輪郭をなぞる様にゆっくりと降りていく。
存在を、確かめるように。
…少しだけくすぐったい。
だけどそれ以上に。
額に
目元に
頬に
口許に
首筋に
鎖骨に
雨のように降って来るのは、彼の口接け。
いとおしそうに押し付けてくるその感触は、確かに彼のもので。
嗚呼、ここにいるんだ。
乾いた地面が潤うように、染み通っていくその感情は、とても気持ちが良い。
そして最後にたどり着くのは、唇。
軽く何度も触れ合って、そうして、少し顔を離してお互いを視界に確認する。
眩しげに細められた金瞳は、これ以上ないほどに穏やかで、優しい。
「…ひさしぶり、蓮」
「ああ――…」
君と触れ合うその瞬間
いつだって世界は、最高に輝くんだ
ケイ・
アイ・
エス・
エス
(まるで太陽みたいね)